いつから学んでも糧となるのが美術・デザイン教育
-
准教授/修士 (美術)
田﨑 冬樹
TAZAKI Fuyuki
INTERVIEW
02
新カリキュラムに至った経緯と目標とするものは何ですか?
昨今、受験時の志望コースと入学後の志望コースで変更する学生や入学後も2年次以降のコースを決めきれずにいる学生が増えてきました。高校までの間に美術やデザインの世界に触れる機会が少なかった学生にも広く平等に学ぶ機会を確保したいという想いです。
美術とデザインは一見畑違いのようにも思えるかもしれませんが、創作の根本や起源という意味では一緒だと思っています。誰もが美大生として必要な教養と技術を会得していくことが目標です。
美術とデザインは一見畑違いのようにも思えるかもしれませんが、創作の根本や起源という意味では一緒だと思っています。誰もが美大生として必要な教養と技術を会得していくことが目標です。
基礎の段階で得た教養や技術は一生役立つもの
従来より美術やデザインの学びの経験値が浅い学生に対しても基礎から時間をかけて指導し、4年間で見違えるほど成長を遂げる学生を多く輩出してきました。その実績をさらに横断的に活用し、全学一丸となってカリキュラムを立て直しました。画家を志す学生にもデザインの知識やパソコンスキルは必要ですし、グラフィックデザイナーを志す学生にも立体的な素養を身につけてほしい思っています。小規模な大学だからこそできる専門コースの垣根を超えた協力体制を初年次教育に注げることは他大学にはない特徴です。
誰もが所属した専門コースの学びだけをフルに活かせる職種につけるとは限りません。基礎の段階で得た教養や技術は一生役立つものです。
誰もが所属した専門コースの学びだけをフルに活かせる職種につけるとは限りません。基礎の段階で得た教養や技術は一生役立つものです。
基礎教育を行う上での学生に対するスタンスを教えてください
さまざまな経験値を持ち合わせた学生が一つのクラスに集合しているので、まずは経験値の浅い学生の立場に寄り添った形で課題の組み立てと授業運用をしていきます。経験値の高い学生の要領や完成度を間近に見られることで自然とコツを掴んでゆく学生が多いことは、自分も含めて経験上確かなことです。
経験値の高い学生には既に身に付いている基本知識やスキルを尊重し、新しい視点や情報を提供しています。私は学生の頃「大学教員は偉くて怖い存在」でしたので、本学学生に対しては些細なことでも相談しやすいムードを作ることを心がけています。制作の過程で何かを指摘する際も、ただ否定するのではなく何故いけないことなのか、どうすると良くなりそうなのか順を追って話すようにしています。初年次では、ほぼ解答のような指示をすることも多いですが、より明快なアイデアや制作方法を示唆することで各自の経験値を上げることを意識しています。美術やデザインは明確な正解がない世界です。自分自身で気づけない小さなことでも良いところを見つけてあげ、自信に繋がることを心がけています。
経験値の高い学生には既に身に付いている基本知識やスキルを尊重し、新しい視点や情報を提供しています。私は学生の頃「大学教員は偉くて怖い存在」でしたので、本学学生に対しては些細なことでも相談しやすいムードを作ることを心がけています。制作の過程で何かを指摘する際も、ただ否定するのではなく何故いけないことなのか、どうすると良くなりそうなのか順を追って話すようにしています。初年次では、ほぼ解答のような指示をすることも多いですが、より明快なアイデアや制作方法を示唆することで各自の経験値を上げることを意識しています。美術やデザインは明確な正解がない世界です。自分自身で気づけない小さなことでも良いところを見つけてあげ、自信に繋がることを心がけています。
ご自身の経験と美術・デザインの基礎の大切さについて
私は浪人時代が長かったため、美術予備校で得た経験や教養は自分の制作にも学生の指導にも大いに役立っています。予備校の経験で何よりも影響が大きかったことは、美術やデザインに対する心構えを学べたことです。制作をしていく上での集中力、洞察力、発想力、忍耐力などは全て予備校時代の苦しい経験から得たものばかりです。そこでは志望大学にいかに受かるか、だけではない現在に通じるモノづくりの根本が確実にありました。
予備校、大学と多くの師に出会い、多くの経験を得たことを今の学生にもそのまま伝えています。自分が大学に入ってからは、さらにデザインの世界の奥深さに直に触れる機会が増えたことで興味や嗜好が増えていきました。しかし、学生時代にもっと早く知っていたら良かったと感じることも多いため、課題以外のことでも学生の興味の幅を広げていけるよう意識しながら話をしています。どこに創作のヒントが隠れているか分からないので常にアンテナを張って日常を過ごしています。
現在の自分の制作でも何気ない日常の風景を切り取ったものをモチーフにしていますが、他の人が気づかないところに面白さを見出すことができるのも、美術やデザインを学んだ人の特権だと思います。
予備校、大学と多くの師に出会い、多くの経験を得たことを今の学生にもそのまま伝えています。自分が大学に入ってからは、さらにデザインの世界の奥深さに直に触れる機会が増えたことで興味や嗜好が増えていきました。しかし、学生時代にもっと早く知っていたら良かったと感じることも多いため、課題以外のことでも学生の興味の幅を広げていけるよう意識しながら話をしています。どこに創作のヒントが隠れているか分からないので常にアンテナを張って日常を過ごしています。
現在の自分の制作でも何気ない日常の風景を切り取ったものをモチーフにしていますが、他の人が気づかないところに面白さを見出すことができるのも、美術やデザインを学んだ人の特権だと思います。
本学を志望する学生 (や保護者指導者) に対するメッセージ
美術やデザインを大学で学ぶことはセンスや才能がないとできない、幼少から経験を積んでいないと難しいなどと思われがちですが、いつから学んでも糧となるのが美術・デザイン教育です。美術大学に行ってみたい、その心意気だけで十分センスを持ち合わせています。無から有を生み出すことができるのは、美術やデザインを学んだ人の強みです。たとえ将来クリエイターにならなかったとしても日常の中で役立つことが大いにあります。
少しだけ好き、少し興味があるかも、それだけでも十分キッカケになります。あとは同じ志を持った仲間と一緒にいくらでも夢を広げていくことができます。
少しだけ好き、少し興味があるかも、それだけでも十分キッカケになります。あとは同じ志を持った仲間と一緒にいくらでも夢を広げていくことができます。